虫の声

 

 

ついさっき

うまれてきたのか

おまえは

かすかな声

・・ち・・

・・・ちち

 

 

 

 

赤い光

強い光

あんな星など

はじめてみた

 

白の空

 

 

雲と光の入り混じる白の空

 

 

か細い声

 

 

深い夜の

雨の後

澄んだ声

か細い

虫の声

 

開かれ

 

 

雨と雷

ようやく止んだ

あたりは明るい

虹が出ている

 

 

はじまり

 

 

声がする

鈴虫だろうか

どこにいるのだ

まだ8月のはじめだ

 

変位

 

 

かみなり

あめふり

けっこう

けっこう

はれてばかりで

なんにも

みえなかったところだ

 

 

 

夜になった

月が出ている

夕焼けの赤は

まだ消えない

 

 

途上

 

 

支柱のついた

細い木だ

大風吹いて

ぐらぐらだ

 

数羽の鳥

 

 

こっちだ

こっちだ

おいてくぞー

ついてこいよー

 

 

窓の外

 

 

ぴりりぴりりと

鳥が啼く

あんなに

いそいで啼く

 

 

ルドン

 

 

黒と緑の渦

身を投げろ

しばらく

眼をつぶれ

 

兆し

 

 

曇っていたのに

カラリとしてきた

鳥がそこらで

啼いている 

 

三日月

 

 

鋭い月だ

あの刃に触れれば

血が流れる

 

 

 
外を歩いていたら
周りがやけに明るいのだ
さっきまでは底にいた
暗いところで
つついたり
はがしたり
つねったりしていた

雨の後

 

 

雨降った

花弁が

下向いている

風はぬるい

 

まだらな雲

 

 

まだらな雲

薄い雲

丸い月が近い

 

黒い猫

 

 

細い路地へ

見たことのない

黒い猫

 

春の芽

 

 

ああ伸びてるな

よく伸びてるな

冬の間はどこにいた

何にも心配いらなかったんだ

 

 

あれあれ

 

 

おうおう

芽が出ている

葉が茂っている

なんにも心配いらなかった

 

 

夜の雨

 

 

真っ暗な

寝床で

聞いている

雨はまっすぐ

降っている

からだの中を

通っていく

 

深い夜

 

 

深い夜

鳥の金切り声

ここらを旋回し

しばらく止まない声

 

落下

 

 

風はない

鳥もいない

あんまり静かだ

桜が散っている

 

ガリガリ

 

 

落ち葉

地面と擦れている

ガリガリという

 

 

田んぼ

 

 

水を張った田んぼだ

陽が照りつけて銀色だ

農夫が傍にいる

 

 

 

木の上で

ぴぃぴぃ

小鳥が鳴いている

きれいな声だ

ああそうだ

ついこの間

遠くを見つめ

何にも言わない鳥がいた

もしやあの鳥か

お前は

 

たわむれ

 

 

影踏み

落ち葉拾い

石蹴り

肩車

なかなか進まない

娘との散歩

上向けば

風に揺れる木の葉が

けらけら笑っている

 

桜の道

 

 

桜の道で

黄の蝶

行く当てなし

ふらふらふらふら

舞っている

 

 

3月末

 

 

薄暗い

石塀の前

真っ赤な花弁が

ぼたぼた落ちていた

 

 

 

 

雲とか太陽とか

それくらいしかないだろうに

どうしてそっちとわかるのだ

教えてくれないか 

なぁ鳥よ

 

7か月

 

 

手が動くぞ

楽しいぞ

足が動くぞ

楽しいぞ

大声出せるぞ

楽しいぞ

歩けはしないぞ

悔しいぞ

 

春の川

 

 

春の川

ぐんぐん行く

水を運べ

運べ運べ!

 

カタカタ

 

 

カタカタと

外壁にあたる雨音

部屋の中まで

にじんでくる

にじんでくる

 

 

 

雲が重たい

鳥がばたついている

 

 

一筋

 

 

こんな岩肌

流れている

一筋の水が

 

遠く

 

 

枯木の小鳥

鳴かない

じっと遠くを

見つめている

 

迷った鳥

 

 

 

まよった

こまった

ここどこだ

あっちへこっちへ

ちょこちょこちょこ

そっちにむかうか

ちょこちょこちょこ

どうやらちがうな

ちょこちょこちょこ

こっちのうしろか

ちょこちょこちょこ

こっちもちがった

ちょこちょこちょこ

ちょこちょこちょこ

・・・

 

 

3月半ば

 

 

窓開けた

風ぶわっと流れてきた

 

雪解け

 

 

雪解け水

ちょろちょろ

山道を下っている

 

 

 

 

この雨しのぐ

傘なし

濡らされ

伏し目がち

道歩く

 

 

曇り

 

 

雲おぶった鳥

低くはあるが

飛んではいる

 

 

 

ああよかった

よかった

今年も咲いた

梅咲いた

鮮やか鮮やか

鮮やかないろ!

よく耐えた

よく耐えた

冬よく耐えた

ごわごわの

皮ついた

幹や枝たち

冬よく耐えた!

 

 

 

 

 

 

びっくりだ

もうあんな遠くまで

飛んでったのか

さっきまでここらで

もじもじしてたのに

ちょっと目を離した隙

飛び始めたら

はやいんだなぁ

家でも電線でも

ひょいひょい越えていく

こちとらびっくりだ

 

 

枝間

 

 

枝間につっかえた

雪のかたまり

まだ落ちない

 

 

 

雪融け 

 

 

雪融け水が

水路に落ちる

カタン

テロン

トトコン

カタン

カタタン

トロン

 

 

 

小池

 

 

ひとり小池で

水飲んでいた鳥

人に姿見られ

そそくさと

木陰に隠れる

 

 

雨粒

 

 

嵐の夜の

庇にあたる雨音を

しばらく聴いていた

刺すようでいて

滲んでもくるような

不思議な音をしていた

 

 

遠く

 

 

 

鳥の声がする

どこかで鳴いている

あちこち眺めても

見えないけれど

たしかにどこかで鳴いている

 

 

黄の実

 

 

枯れ木に残った

黄の実ひとつだけ

 

三月

 

 

よくしゃべる

よくしゃべる

聞いてもないのに

鳥よくしゃべる

 

転向

 

 

つと向き変えた鳥

細い路地からだごと

 

 

 

 

青い青い

広い広い

これはこれは

いいところへ出た

 

 

 

雪の後の陽はよい

こんなに明るいものかと

疑うくらいによい

 

 

雪の中

 

 

雪に埋もれていたら

聞こえてきた音

細い川

 

 

 

微妙な声

 

 

さっき土から芽が出たような

少し明るいところへ出たような

ひどくほそくてかよわいのだが

けれどたくましくもあるような

そんな微妙な声を震わせて

小さな鳥が鳴いている

 

 

 

小鳥

 

 

 

ちょっと歩いて

飛びかけて

やっぱりやめて

ちょっと歩いて

飛びかけて

やっぱりまたやめて

ちょこちょこして

また飛びかけて

またやめて

そのくりかえし

そのくりかえしをくりかえし

さっきようやく

飛んでった

 

 

訪れ

 

 

風が窓を揺らした

カタッと音がした

そのあと鳥が来た

 

兆し

 

今日吹く風は

なんだか違う

冷たいままなのに

何かを運んでくるような

そんな風だ

 

冒険

 

 

木は揺れながら

なんとか保っている

冒険している

 

 

 

畑に来たのに

なんにもなかった

鳥は黙って

待つことにした

 

 

拮抗

 

 

背を向けあう

二羽の鳥

どっちへいく

 

荷重

 

 

重さに耐えている木

のたうち回っている 

 

欠け

 

 

満月に見えたが

すこし欠けていた

 

尻尾

 

 

影迫って来た

尻尾を切った

 

混沌

 

 

森まさぐっていたら赤い実がとれた

 

不言

 

 

雪に降られても

何も言わない木

 

発芽

 

 

土から出て来た

こんなに明るい

 

照度

 

 

窓に射す光

こんなに明るかったか

 

 

 

 

あたり一面

光が射している

 

迷宮

 

 

水探している鳥が居る

 

目撃

 

 

みんなで遊べなかった娘が

みんなと遊んでいる